相続不動産を負の財産にしないために
【大相続時代の到来】
第一次ベビーブーム世代、つまり団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年、不動産業界においてもその影響を多大に受けることが予測されます。
相続とは亡くなった人が生前に保有していた財産の権利や義務を、一定の範囲の人に引き継ぐことです。
「平成26年全国消費実態調査」によると70歳以上の世帯が保有する資産のうち半分以上が土地や建物の不動産であることが分かっています。
【相続不動産もめるポイント】
不動産は、他の有価証券や現金、預貯金の相続よりももめてしまう傾向にあります。
不動産、特に土地ははっきりとした価値が分かりづらく、専門業者に査定してもらっても必ずしもその価値を保証するものではないという点です。
また、きっちり分割することも難しく、保有した後も維持費が発生するため、公平を記すにはどうすればよいかという議論に発展していきます。
例えば、売却して換金しようとしてもすぐに買い手がつかない場合もありますし、特殊な立地や地形、利用規制のかかっている土地などは売却自体が難しい場合もあります。
【負の財産になる可能性】
子や孫が住むだろうと遺しておいた不動産、実際に子ども達は既にマイホームを手に入れ故郷に帰る予定はないというケースが多いのです。
不要な不動産を手放したい場合、以下の方法があります。
①売却
②自治体に寄付
③相続放棄
④有料での引き取り
⑤賃貸に出す
売却や賃貸に出せる不動産であれば問題ないのですが、先にも述べたように、特殊な立地や地形、利用規制のかかった土地、山林と言った不動産の場合には、どうすればよいのか分からず放置して税金だけを支払い続ける負の財産になってしまう可能性があります。
【増え続ける空家~2022年生産緑地問題~】
高齢化、人口減少とともに空家は増え続け、2021年現在は846万戸です。2013年よりも26万戸増加しています。
その中でも放置された住宅が347万戸ととても大きな割合です。
そして、より空家を加速させていく可能性を示唆する問題が2022年に期限を迎える生産緑地法です。
農地として保全する「生産緑地」は固定資産税軽減され相続税の納税猶予が受けられます。
そして、この適用が解除されるのが2022年なのです。
つまり2022年の解除により固定資産税や相続税が跳ね上がり、所有者はその土地を売却しようと一気に不動産市場に流れ込みます。すると土地は供給過多になり土地価格は下がり、売却自他も難しくなります。
土地のままにしておくと固定資産税が高いので、その上にアパートを建てる人が増えますが、人口も減っているので入居率は下がり続け、結果として空き部屋だらけのアパートや貸家が増加し空家問題がより加速していくということになります。
もちろん、これまで売ることが難しかった郊外の土地などはより売りづらくなるでしょう。