土地の売却で確定申告が不要なケースは?1000万円控除についても解説
所有している土地を売却した場合は、基本的には確定申告が必要ですが、例外として確定申告が不要になるケースがあります。
ここでは確定申告が不要なケースを、土地を売却した際にかかる税金やその計算方法と併せて解説します。
土地売却では4つの税金が発生
土地の売却時に支払う必要がある税金は以下の4つです。
- 所得税
- 住民税
- 印紙税
- 登録免許税
所得税
所得税は譲渡所得に対して発生する税金です。
譲渡所得は以下の式で求められます。
※課税譲渡所得=(譲渡収入-取得費-譲渡費用)-特別控除額
なお、所得税は土地を所有していた期間に応じて税率が異なります。
所有期間 | 5年以上(=長期譲渡所得) | 5年未満(=短期所得)** |
所得税 | 15.315%* | 30.63%* |
住民税
住民税も所得税同様に譲渡所得に対して発生し、以下のように所有期間に応じて税率が異なります。
所有期間 | 5年以上(=長期譲渡所得) | 5年未満(=短期所得)** |
住民税 | 5% | 9% |
登録免許税
登録免許税は、土地の抵当権を抹消する手続きにおいて支払う必要があるものです。
第369条第1項 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
第369条第2項 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
第373条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
民法第369条
なお、抵当権抹消の際に納付する必要のある登録免許税は、不動産1件あたり1000円です。
印紙税
売買契約書等、書類作成の際に発生するのが印紙税です。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
1万円未満 | 非課税 | - |
1万円を超え10万円以下 | 400円 | 対象外 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2000円 | 1000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 10000円 | 5000円 |
1000万円を超え5000万円以下 | 20000円 | 10000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 60000円 | 30000円 |
1億円を超え5億円以下 | 100000円 | 60000円 |
5億円を超え10億円以下 | 200000円 | 160000円 |
10億円を超え50億円以下 | 400000円 | 320000円 |
50億円を超える場合 | 600000円 | 480000円 |
国税庁HP「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm をもとに作成
原則土地売却の際は確定申告が必要
上で挙げた税は、土地売却時に原則として納付が必要です。
ただし、次で説明するような場合には、税金を納付する必要がありません。
土地売却時の確定申告が不要なケース
ここでは、土地売却の際に確定申告が不要なケースを紹介します。
土地を売却した際の譲渡所得がゼロまたはマイナスになる場合は、原則として確定申告が不要です。
ここで譲渡所得について復習してみましょう。譲渡所得は、以下の計算式によって求められます。
譲渡所得=譲渡収入-取得費-譲渡費用
つまり、土地の売却によって得られた利益(譲渡収入)が取得費や譲渡費用を下回れば、譲渡所得は発生しないため、この場合は確定申告の必要はありません。
なお、取得費や譲渡費用は以下のようなものを指します。
取得費
取得費は、 土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。 建物の場合は、購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額です。
国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
譲渡費用
譲渡費用の主なものは次のとおりです。
(1)土地や建物を売るために支払った仲介手数料
(2)印紙税で売主が負担したもの
(3)貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
(4)土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額 (5)既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金 これは、土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のことです。
(6)借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
損益通算を行う場合は確定申告が必要
譲渡所得が発生していない場合でも、損益通算を行う場合は確定申告が必要です。
損益通算は不動産売却などで損失が生じた場合に、その一定額を所得から控除する手続きです。
損益通算を行う場合はたとえ赤字でも、確定申告をする必要がある点に注意が必要です。
特別控除を適用する場合は確定申告が必要
厳密にいうと譲渡所得については、その額から1000万円特例などの控除額を引いた額に対して所得税・住民税が発生します。
したがって、譲渡所得から控除を差し引いた額が0になれば税金は発生しませんが、控除の適用に際して確定申告を行う必要があります。
なお、1000万円控除については以下の記事を参照してください。
https://hiratsuka-main.jp/blog/20220920-1530/
まとめ | 土地売却で譲渡所得が発生しない場合は確定申告が不要
土地を売却時に譲渡所得が0またはマイナスとなる場合は、原則として確定申告が不要です。
しかし、損益控除や特例の適用による控除を行う場合は、譲渡所得がなくても確定申告をする必要になるので、注意が必要です。
株式会社平塚メイン不動産
住所:神奈川県平塚市代官町21-3FUKUWA21 1F
電話番号:0120-791-154
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